「ロストハウス」 描いたヒト→大島弓子

・・・・語りたい事は色色、渦渦とあるのだが、
語ろうとすると形容できなくて困困なのが、大島弓子の漫画だな。
ただ彼女の漫画はすべて、「自分の居場所を探す物語」なんじゃないかと思う・・・・

　　“わたしはこの世にたったひとつ　好きなものがある
　　　　　　　他人の散らかった部屋である”

　　“わたしは何の趣味も特技も人生の目的もない
　　　　　　ただ　小さな解放区さえあれば
　　　　　あとはロボットみたいに生きていけると思っていた”

解放区を失って、消音枕で叫びを押し殺したエリ。
交友関係ゼロ、すべてが挨拶程度の女子大生・・・・
・・・この絶望感はかなりわかる気がする。
目的もなくて、希望もなくて、ロボットにすらなれない人間にとって、
世界は閉じられた箱の中だ。
居場所がないのは存在を否定されたと同じ事だ。

だけど最後に、救われる素敵なラストがまっている・・・

　　　“わたしは　わたしの前で　世界のドアが
　　　　　とつぜん　開け放たれていくのを　感じた”

エリは世界を開放したのだ！

　　　“この世界のどこでも”
　　　“どろまみれになっても　思い切り　この世界で遊んでもいいのだ”

ラスト、３Ｐ・・・・ドアを捜すすべての「エリ」たちに読んで欲しいと願います。

　　　　　　　　　　　　　　角川書店　￥７８０